2026/05/17 14:12
現在、私たちが「ナノダイヤ」と呼ぶ超微粒子は、1960年代の旧ソ連において、爆発工学研究の副産物として見出されたことがわかっています。
冷戦時代でもあり、軍用機械や戦車エンジンなどへの潤滑応用研究も進められていたようですが、しかし当時は、現在のような高度な精製・分散処理技術は存在せず、爆発後の煤(すす)に近い、多量の火薬由来不純物を含む凝集体だったとされ、安定した潤滑効果を得ることは無かったと思われます。
そしてペレストロイカとソビエト崩壊を経て、この技術の存在は世界へ知られることになります。
その後の研究により、ナノダイヤの高純度化、表面制御、超微細分散技術は進歩しました。
日本では、ナノ炭素研究所・大澤映二先生らのグループによる研究がよく知られており、ナノダイヤ添加剤による摩擦低減・エネルギーロス低減は、G8リサーチプログラムにおける研究テーマの一つでもありました。その頃に、大澤先生からお聞きした話では、8%の燃費改善が実験確認されたそうです。
2026年現在では米国系ナノ粒子添加剤も多数ネット上で確認ができます。最古のものは2012年頃にこれも米国系の実物を筆者も手にしたことがあります。その少し後の2014-15年頃に日本国内の大手カー用品店でも、大々的に販売されていました。10年ほど前なので、覚えていらっしゃる方もいるかもしれませんね。

しかしこれらの技術発想は、NDWCのナノテクとは少し異なる方向性にあるようです。当時の製品の中には、現在の高分散ナノ粒子というより、凝集炭素粒子に近いものも混在していたと思われます。
ナノ粒子の大きさはヒトの可視光線波長以下なので、目には見えません。透明な液体にナノダイヤ粒子を分散した場合はやはり透明のままです。(濃度によっては光のレイリー散乱により黄~茶に変化していきます)
つまり、真っ黒な液体だったり、粒子が目に見えるようであれば、それは正しく分散されたナノダイヤ粒子ではないということです。

そこにレーザーポインターを照射すれば、溶液中の無数の粒子に反射して、一筋の赤いラインが浮かび上がります(ティンダル現象)レーザーポインタ光が綺麗に通過(一筋のラインを形成)しなければ、それも正しく分散されたナノ粒子ではないということです。

当時の市販品も「ナノダイヤ入り」なのは事実なのでしょうが、当時の分散技術の限界から、安定した潤滑効果(ナノスペーサ効果)を十分に引き出すのは難しかったのではないかと推測されます。実際、ブームは長く続かず、すぐに店頭から消えていった記憶があります。
そして、現在2026年。ナノテクノロジーは当時よりも表面制御の面で大きな進歩を遂げています。
半世紀以上前、軍事研究の片隅で生まれ、一度は実用化困難とされた「ソ連のロストテクノロジー」は、現代のナノテク技術によって、ようやく現実的な性能として扱える時代に入りつつあります。
まるで“先祖返り”とも言える、ナノダイヤ・オイル添加剤。
NDWCでも過去にも何度か試作品を出してはきましたが、ナノスペーサ効果を生み出すには一定以上の個数濃度が必要なため、コスト面でなかなか折り合いがつきませんでした。しかし、この春に従来比約5倍の濃度の分散処方を目にしたことで、ようやく2026年モデルという形でご提供できそうです。ご期待ください。
